大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(オ)97 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告理由第一点について。

原審の認定した事実は、「被上告人の代理人金沢兼吉は約定の買戻期限前約二〇

日頃、約定買戻代金五五〇〇〇円を何時でも債権者に支払い得るよう自宅に準備し

た上僅々約一町隔つているに過ぎない債権者上告人方に赴いて本件土地家屋の返戻

方と右金員の受領方を求めたのであるが、上告人は被上告人本人が帰つてから直接

話をするといつてこれに応じなかつた」というのである。かかる事実関係によれば、

右買戻代金の提供は、時間的にも空間的にも、また経済的にも、債権者たる上告人

の住所で現実な提供をしたのと取引上選ぶところはないと見ることができるのであ

る。されは原審が右代金の提供を有効とみたことについては所論のような違法はな

い。そして前掲原審の事実認定は、その挙示する証拠に照らしこれを肯認するに難

くないのであるから、その他の所論は畢竟事実審の裁量に属する証拠の取捨判断を

論難し延いてその事実認定を非難するに帰着し、論旨は採用に値しない。

同第二点について。

本件買戻の期間が昭和二三年一〇月三〇日までと約定されていたことについて、

当事者間に争のないことは記録上明らかである。そして原審は右争なき事実にもと

ずき、その買戻期間の終了前二〇日頃被上告人の代理人により買戻権が有効に行使

されたことを判示しているのである。論旨の指摘する原判決の判示は単に本訴当事

者がいわゆる親戚の間柄であり買戻の交渉についても契約当初から必ずしも約定期

間内に完了しなければならないという程の趣意でなかつたとの事情を説示したに過

ぎないものであることは原判文上明らかである。しかも前説示の如く本件買戻権の

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行使はその期間前になされたと判示されているのであるから、所論は原判決の主文

に何等影響なき事由を主張するものであり、採用の限りでない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとお

り判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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